2024/08/05 07:02
経年変化:使用後数年
今回は、ナッパラックス革仕様のブックカバーの経年変化についてです。革はイタリアはトスカーナ地方にあるバタラッシー社で作られたナッパラックスと呼ばれている革です。シブなめしと言われる天然のなめし100%で作られてます。主に牛の革で、牛の生産地はスイスフランスを含めたその周辺です。昔ながらの製法でなめされた革です。オイルがたくさん含まれてますので、タッチ感はとてもしっとりしてます。人の肌に近い印象で、違和感なくすっと馴染む感じです。肌に近いということは、日焼けもしますし、傷もつきやすいです。雨にぬれれば染みになりますし、コーヒーなどこぼしてしまえば、「あ~~、やっちまったぁ~」と一瞬嘆くことになります。あ、これは自分の感想です。コーヒーではありませんが、急な雨などで当時お気に入りだったナッパラックスのバッグを幾度も濡らしたことがあります。当時、バックを抱えて思いっきり走りましたが(笑)
しかし、経年変化する革はに思いがけない良さがあります。これらの染みは時間とともに気にならなくなります。馴染んでくるといいますか、それもいいよね、という雰囲気に全体がなってきます。確かにコーヒーの染みは、濃い色の革であれば、目立たないのですが、薄い色の革の場合は結構目立ちます。そんな時は、思い切って、革全体を濡らして、その染みを目だたくします。目立たなくするということなので、染み自体は消えることはありませんが、経変変化すると馴染んできます。手で触れば、良い具合に油分が付きますし、空気に触れれば色は退色しますし、光によって日焼けもします。それらが合わさって、経変変化と呼びます。
このシブなめし革の良さは、見える形で一緒に歴史を積み重ねていくような感じでしょうか?
私も10年以上ブックカバーを使用してますが、まだまだ現役です。もちろん、色はかなり変化しますし、油分も随分抜けた印象です。そろそろ別のものも検討しています。
革は繊維がほどけてくると、生地が薄くなり、それによって糸がほどけてきます。そうなるとそろそろ卒業です。頑張ってくれた相棒に感謝し、気持ちよく引退させてます。長い間ありがとうという気持ちです。
そうなんです、年月と共に、読む本の種類も変化し、良く使用するカバーも別サイズのものになります。変化することは素晴らしいことですので、それに合う道具と共にまたタッグを組んでいく、そんな付き合い方を革としています。
制作現場

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(TSUKKAの徒然日記)